自作PC用のケースと言えば、ミドルタワーやフルタワーなどが主流ですが、かなりサイズが大きく場所を取ってしまうのが難点です。
そんなPCケースの中でも、9.95Lというサイズながら、3スロットのフルサイズGPUを搭載できるのが、今回紹介する『FormD T1』。
このケースは、その小さいサイズも特徴的ながら、何と言ってもそのミニマルなデザインが美しく、個人的には「最もカッコいいMini-ITXケース」だと思っています。

いつも売り切れててなかなか手に入らない『FormD T1』ですが、何とか購入できたので実際に組んでみました。組み立ての様子やデザインなどをレビューしていきます。
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FormD T1とは?
アメリカのFormD社より発売されている、SFF(Small Form Factor)向けPCケースが、この『FormD T1』。
最大の特徴は冒頭でも述べた通り、9.95Lという大きさながら、最大3.25スロット(140×325×65mm)までのGPUが搭載できる点。Founders Editionにはなりますが、「GeForce RTX 4090」や「GeForce RTX 4080」などハイエンドGPUも搭載可能なので、「小型なのにハイエンドゲーミングPC」というロマン溢れるPCを組むことが出来ます。
FormD T1 V2.1 | |
---|---|
対応マザーボード | Mini-ITX |
ドライブベイ | 2.5インチ×1 |
対応GPUスロット | 1.00〜3.25スロット |
対応電源 | SFX、SFX-L |
カラー | アルマイトブラック、アルマイトシルバー、チタニウム、ツートーン、ホワイト |
本体サイズ | 13.5×22×33.5cm |
本体重量 | 2.5kg |
そんなハイエンドGPUを搭載できる秘密は、内部フレームの位置を調整できるという点にあります。


使用するGPUのスロット数に応じて内部フレームを移動させる事で、1.00〜3.25スロットまでのGPUに対応します。
もちろん厚みのあるGPUを搭載すると、今度はCPU側にスペースが無くなり厚みのあるCPUクーラーは取り付けられなくなるので、その辺りは組む前にどういうパーツ構成にするのかを考えておく必要はありますが、「簡易水冷+2.75スロットGPU」といった組み合わせも可能です。
FormD T1の開封と組み立て
それでは、実際に『FormD T1』でPCを組み立てていきます。
今回使うパーツ類は新しく用意したものではなく、今まで使っていた『A4-SFX』から持ってくる形で流用します。
PC構成 | |
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CPU | AMD Ryzen 7 5700X |
CPUクーラー | Noctua NH-L9a-AM4 |
メモリ | DDR4-2400 16GB(8GB×2) |
マザーボード | ASRock Fatal1ty AB350 Gaming-ITX/ac |
GPU | 玄人志向 RD-RX5700XT-E8GB/DF |
ストレージ | Intal SSD 600p 512GB(NVMe:512GB) WD Blue 3D NAND SATA WDS100T2B0A(SATA:1TB) |
電源 | FSP DAGGER PRO 850W White |

まず、最初に届いて驚いたのがこれが製品パッケージという点。
ロゴなど何も印字されておらず、最初何が届いたのか分かりませんでした…w




段ボールを開けると、しっかりと中身が入っています。梱包はかなり簡素ですが、パーツ類はクッションで保護されており、フロントパネルも紙で包まれているので、最低限の保護はされている印象です。




本体を構成するフレームやパネル、ライザーケーブルにネジです。
こういった最小ケースだと仕方ないのかもしれませんが、各パーツが細かい…
ネジの数も多く、日本のメーカーみたいに種類ごとに個包装されてたりはしないので、無くさないように注意が必要です。


フレームをネジ止めしていきます。
最近ではツールレスで簡単にセットアップできるケースもあると思いますが、『FormD T1』の様なSFFの場合、まずそんな事はなく、ドライバーでネジ止めしていく形が主流です。

取り付けるGPUのスロット数によって上部フレームの位置は異なりますが、とりあえずこんな感じ取り付けました。


続いて電源ユニットを取り付け。

そしてマザーボードを取り付けます。

GPUはマザーボード裏面に取り付けるので、ライザーケーブルをセット。


電源スイッチも取り付けます。
電源スイッチはフロントパネルの左右どちらにでもセットできます。

GPUの厚みによって、ソケットネジを使う本数は異なりますが、とりあえず全部付けてます。

GPUを取り付け。

電源ケーブルも取り付けます。


ケーブルを回し、電源ユニットへと繋げます。
この電源ケーブルの長さが微妙に短く、今使っている電源の場合かなりギリギリでした。

ここまで出来たら、後は各パーツへケーブルを接続していきます。

背面のGPU側はこんな感じ。今使っているGPUが2スロットの薄くてコンパクトなものなので、こちら側にはまだかなり余裕があります。
今までのケース『A4-SFX』はGPUの厚みやサイズにかなり制限があったため、使えるものが限られていましたが、『FormD T1』の場合は、使えるGPUの選択肢が多く、好みのものを選べそうです。

最後にサイドパネルをはめ込み、

トップパネルを差し込んで完成です。

組み立ては公式サイトに用意されているマニュアルを見ながらやったのですが、正直このマニュアルが文字が少ないため非常に分かりづらく、何回もやり直したりして時間がかかりました。
同梱されているネジも予備用のものが入っているのか、マニュアルに書いてある本数とも数が合わなかったりと、よく分からないポイントも多く、総じて組み立て難易度は高く感じました。
FormD T1のデザイン
マニュアルは分かりづらく、組み立て難易度は高いものの、デザインに関して言えば申し分ありません。

一般的なPCケースだと、デザイン的な意匠が施されている事が多く、ロゴなんかも目立っている事が多いのですが『FormD T1』は、そういった装飾が全く無く、まさにミニマルデザインといえる見た目です。

本体上部から見た様子。
4角が角張っており、シャープな印象を受けます。

最近のPCケースのトレンドとして、白が流行ってきている事自体は喜ばしいのですが、どれもサイドパネルはガラスで、中身をどう光らすか…みたいな所にばかり注目が集まっているような気がします。
僕の場合、昔は光るPCがカッコいいなと思っていた時期もありましたが、今はむしろ光っているとダサいとまで感じるようになり、僕みたいに「光らせたくない人」も一定数居るんじゃないかな…と思っています。
『FormD T1』はそういう人のニーズにピッタリのPCケースと言えそうです。

電源ボタンはフロントパネルサイドにあるこの部分。
こういった電源ボタンすら極力目立たなくなっているという点もとても自分好みです。
A4-SFXとFormD T1の比較


今まで使っていた『A4-SFX』と『FormD T1』を比較。
容量的には『FormD T1』が9.95L、『A4-SFX』が7.2Lと結構差はありますが、実際の見た目的には一回り大きい程度に収まっている様に思います。
デザインも『A4-SFX』は角が丸くなっているのに対し『FormD T1』は角ばっており、シャープな印象。
機能的にも『A4-SFX』は内部のフレーム位置調整が出来ず、2スロットまでのGPUしか搭載出来ないのに対し、『FormD T1』は1〜3.25スロットまでのGPUが搭載可能というのは明確なメリットと言えます。
FormD T1の使用レビュー
実際に『FormD T1』を使ってみて感じた感想をレビューしていきます。
デザインは最高

何度も繰り返しになって恐縮なのですが、何回も言わせてください。
デザインは最高です。
どの角度から見てもシャープで美しいデザインは、他のケースではなかなか味わえない満足感があります。
NZXTのケースなんかもシンプルで美しくデザインは好きなのですが、サイドパネルがガラスで内部を光らせることを前提とした作りになっていたりするので、その点は少し残念に思います。
他にも『LOUQE GHOST S1』なんかも小型ケースでは人気ですが、個人的には上部に飛び出している革製タグの意味が良く分からないのと、白が無い点であまり好みでは無かったりします。
そういう点では今のところ『FormD T1』以上に僕好みのデザインは無いですね。
ケース自体に静音性は無い

まぁ見ての通りなんですけど、こういった小型のケースって熱がこもらないようにメッシュパネルが採用されています。
そのため、通気性は良いのですがケース自体に静音性はありません。
負荷がかかるゲームやエンコード作業などをする場合、特にGPUファンがかなり回ってうるさいので、パーツ選びの段階から静音性の高いパーツをチョイスしておくことをオススメします。
ケース自体の冷却性能は高い
これも見て分かる通り、全体がメッシュなので風通し自体はかなりよく、ケース自体の冷却性能は高いと言えます。
ある意味、ケース側では「何もしていない」ので、GPUクーラーやCPUクーラーなど、パーツそれぞれに付属しているクーラーの性能がより重要と言えます。
冷却性能と静音性のバランスと上手くとるパーツ選びをしなければいけないので、やはり使用難易度は高いケースと言わざるを得ません。
FormD T1のレビューまとめ
『FormD T1』は、9.95Lというコンパクトな容量ながら、内部のフレーム位置を調整できる事によって、1〜3.25スロットまでのGPUを搭載できるPCケースです。
コンパクトなケースにありがちな「組み立てが難しい」「静音性が無い」という欠点は『FormD T1』にもありますが、そのデメリットを帳消しにするくらいにデザイン性が高く、シンプルでスタイリッシュなPCケースの頂点にいる存在と言っても過言ではないと思います。
公式サイトでもずっと売り切れててなかなか入手出来ず、カラーによっても価格は変わりますが、この「E-White」は295ドルと安くはありません。
一般的には、「コスパも悪く扱いづらい使いづらいケース」という評価になるかもしれませんが、僕個人としては「今最も気に入っているケース」です。
僕と同じ様な考えを持っている方がもしいるのでしたら、ぜひ『FormD T1』に挑戦してみてほしいなと思います。
うわー、白のT1、オシャレですねー!黒のメッシュがまたいいアクセントになっていて、素敵です。
自分はシルバーで組みましたが、こちらもApple製品の様な色合いでスタイリッシュで気に入ってます。
T1は入手難易度、パーツ選定難易度、組み立て難易度のどれもめちゃくちゃ高いケースですが、その分完成させるまでの過程も楽しかったですし、完成したPCをただ眺めてるだけでもテンションを上げてくれてます。
ありがとうございます…!
シルバーもいいですよね!スタイリッシュでカッコいい…!
PC眺めてるだけでもテンションあがるって気持ち…凄く良く分かります!
そのくらいこのT1って洗練されたデザインですよね。苦労して組んだ甲斐があります。