容量7.2Lの超小型サイズに、約30cmまでのグラフィックカードが搭載できるPCケース『Dan Cases A4-SFX v4』を購入しました。
このPCケースは以下の特徴を持っています。
ケースを注文してから到着するまでの経過や、実際に組み立てた様子などを詳しくレビューしていきますので、是非最後までご覧ください。
※現在は、より新しいバージョンである『v4.1』が販売中です。本記事は『v4』の内容であることをご注意ください。
タップできる目次
Dan Cases A4-SFX v4とは?
7.2Lのという超コンパクトサイズながら、長さ約30cmまでのグラフィックボードが使えるMini-ITX対応のPCケースです。
自作PCを始めた当初はATXサイズのミドルタワーケースを使っていましたが、以前と比べDVDドライブやHDDなどのストレージを積むことも少なくなってきたので、小さいケースでも問題無いのでは?と考え、小さいケースを求めるようになってきました。
そこで、高性能ながら究極まで小さいケースとは?を突き詰めた結果、この『Dan Cases A4-SFX』にたどりたどり着きました。
Dan Cases A4-SFXが小さいわけ
前述の通りこのケースは7.2Lという超コンパクトサイズながら長さ30cmまでフルサイズグラフィックボードに対応しています。その秘密は「マザーボード・電源ユニット」と「グラフィックボード」を左右に分けて配置する仕組みにあります。
手前側に「電源ユニット」と「マザーボード」、奥側に「グラフィックボード」を配置する分離構造により、コンパクトなサイズながら約30cmまでのグラフィックボードを搭載可能となっています。
グラフィックボードの取り付けには、ライザーケーブルを介する必要があるものの、設計としては無駄の無い作りになっているのが分かります。
v3からの変更点
『Dan Cases A4-SFX v4』は「v4」と名がついている通り、4番目のリビジョンで、前回の「v3」から様々な改良が加えられています。
変更点は上記の通り。
見た目や使い勝手の部分で大きい変更点としては「マザーボード下に92mmファンが取付可能」になった点と「フロントパネルのUSBポートがUSB3.2 Gen1のType-C」となった点でしょうか。
特に、個人的には将来的には全てUSB Type-Cに統一したいと考えているので、フロントパネルのUSBポートが変更になっている点は歓迎すべき点です。
Dan Cases A4-SFX v4の購入方法と価格
※2019年に購入した当時の購入方法と価格です。現在は正規代理店である「ディラック」が販売を請け負っており、Amazonなどから「v4.1」を購入できます。
『Dan Cases A4-SFX v4』は、SFFLABからプレオーダー(予約)する形で注文しました。価格は本体価格が199ドル、送料が10ドルで、合わせて209ドル(執筆時点で約23,000円)でした。
SFFLABは海外のサイトですが、そこまで英語は難しくなく、クレジットカード払いにも対応しているので、日本からでも問題なく注文できました。
注文から発送まで
- 2019/4/16:プレオーダー注文
- 2019/4/28:出荷開始連絡
- 2019/5/3:台湾から出荷
- 2019/5/7:日本到着
- 2019/5/9:自宅到着
実際にプレオーダーしてから自宅に到着するまでには、約2週間弱といった所。海外サイトの注文はあまりやった事がなくて多少不安でしたが、問題なく届いたので安心しました。
Dan Cases A4-SFX v4の開封と本体外観
届いた『Dan Cases A4-SFX v4』を開封して、本体の外観やサイズ感を見ていきます。
自宅へ到着したときは、このようなロゴ入りのダンボールにて発送されてきました。
パッケージ内容
パッケージ内容は上記の通りです。
付属のマニュアル。
全て英語ですが、イラストが中心なので、見ればなんとなく組み立て方は分かります。
本体外観・サイズ感
『Dan Cases A4-SFX』の本体外観やサイズ感を見ていきます。
フロントパネル
電源ボタンと、USB-Cポート(USB3.2 Gen1)が1つあるのみの、かなりシンプルなデザイン。使い勝手という面では、もっとポートがあったほうが良いのでしょうが、個人的にはこのくらいシンプルな方が好きです。
トップパネル
フロントパネルと一体型になっているトップパネル。パンチング加工されたアルミにより、通気性を確保しています。
バックパネル
バックパネルはマザーボードのI/Oパネルに加え、2スロット対応のグラフィックボードが設置できます。
なお、最近のグラフィックボードはクーラーが巨大化しており2.5スロットなど厚みがあるものが増えていますが、このケースの場合厚さ40mmまでしか搭載出来ないので、その点は注意が必要です。
Dan Cases A4-SFX v4とLian-Li PC-Q33を比較
組み立てる前に、現在まで使っているケースと大きさを比較してみます。
今までは『Lian-Li PC-Q33』というケースを使っていました。このケースはフロントパネルとトップパネルが一体型となっており、全体的にガバっと開くので組み立てやすく気に入っているケースの一つでした。
『Lian-Li PC-Q33』も、『Dan Cases A4-SFX v4』と同じ、Mini-ITXマザー用のケースですが、明らかに『Dan Cases A4-SFX v4』の方がコンパクトなのが分かります。
『Lian-Li PC-Q33』は、奥行きが短い為ショートサイズのグラフィックボードしか搭載できなかったのですが、『Dan Cases A4-SFX v4』なら、コンパクトな上にフルサイズのグラフィックボードも搭載できます。
Dan Cases A4-SFX v4の組み立て
『Dan Cases A4-SFX v4』にパーツ類を組み込んでいきます。
今回組み上げるパーツの内容は、以下の通りです。
パーツ類 | |
---|---|
CPU | AMD Ryzen7 1700 |
CPUクーラー | Noctua NH-L9a-AM4 |
メモリ | DDR4-2400 16GB(8GB×2) |
マザーボード | ASRock Fatal1ty AB350 Gaming-ITX/ac |
GPU | SAPPHIRE PULSE RADEON RX 570 MINI 4G |
ストレージ | INTEL SSD 330 SeHries 120GB Hitachi 2.5HDD 5K750-750 750GB |
電源 | Corsair SF600 -PLATINUM- 600W |
ケース | Dan Cases A4-SFX v4 |
マザーボードやCPUなど主要なパーツは以前のケースより引き続いて使用しますが、電源やファンなどは引き続いて使うことが出来ないので、一部新しく購入しています。
パネルを全て取り外す
まずはサイドパネル、トップパネルを外していきます。
『Lian-Li PC-Q33』の時は、手締めネジを採用しており、基本的にあまりドライバーを使わなかったのですが、『Dan Cases A4-SFX v4』は全てネジ止めされているので、ドライバーが必須。また、ネジは結構小さいので、無くさないように注意が必要です。
パネルをすべて外し、シャーシのみになりました。シャーシは細いですが結構しっかりしているので、よほど雑な使い方をしない限り、耐久性に問題は無さそうです。
ケースに付いているケーブル類は、
- 電源スイッチ用
- 内部用ACケーブル
- フロントパネルUSB用ピンヘッダケーブル
のみとなっています。一般的なケースはリセットスイッチ用やHDDアクセスランプ用ケーブルなどもありますが、『Dan Cases A4-SFX v4』では割り切られた設計となっています。
Lian-Li PC-Q33よりパーツを取り出し
ケーブル類がゴチャゴチャしていますが、現在使っている『Lian-Li PC-Q33』よりパーツ類を取り出していきます。
CPUクーラーがなかなか外れない・・・
マザーボードを初め、引き継ぐパーツ類は問題なく取り出すことが出来ましたが、今回CPUクーラーを変更するので、CPUクーラーを外そうとしたのですが、なかなか上手く外すことが出来ません。。
今まで使っていたCPUクーラーはRyzen7 1700を買った時に同梱されてきたAMD純正のリテールクーラー「Wraith SPIRE」。どうやらCPUとクーラーの間にあるグリスがガッチガチに固まっているみたいです。
対処方法を調べると「CPUに負荷をかけて温めた後に外す」「ドライヤーを使い熱を当ててグリスを溶かす」といった方法がありました。
色々と試してみましたが、、、
結局はこうなるハメに・・・。
これはマザーボードからクーラーを外す時に、CPUも一緒に外れてしまう状態でいわゆる「スッポン」と呼ばれるものです。
スッポンをした時に怖いのがCPUのピンが折れたり曲がってしまう事。折れてしまったらもう取り付けることが出来ませんし、曲がった場合でもピンセットで1つずつ戻すなどの作業が必要になってきます。
今回幸いにもピンは曲がっていなかったので、ほっと胸をなでおろしました。
CPUをマザーボードに付け、グリスの塗り直し
CPUクーラーを交換するので、CPUのグリスも塗り直します。購入したCPUクーラー『Noctua NH-L9a-AM4』にもグリスは付属しているのですが、それは使わずに熱伝導率の高さで定評のある「Thermal Grizzly」の「Kryonaut」シリーズ。通称「熊グリス」を使います。
オーバークロックをするつもりは無いのですが、狭いケースなので少しでも放熱できる方が良いかと思い、購入しました。
グリスの塗り方は諸説あるようですが、あまり神経質になっても仕方ないかなと思っています。付属のヘラである程度伸ばしていますが、わりと適当に塗っています。
CPUクーラーは『Noctua NH-L9a-AM4』を購入
『Dan Cases A4-SFX v4』用に、高さが37mmしか無いロープロファイル用のCPUクーラー『Noctua NH-L9a-AM4』を購入しました。
「Noctua」と言えば、高品質なPC用ファンという事で有名ですが、初めて購入してみて、今まで使ってきたファンとは明らかにクオリティが違うと感じました。
ファンの回り方が非常に滑らかで、ブレも無く正確な印象。価格は高いですが、性能は間違い無さそうです。
『Noctua NH-L9a-AM4』を取り付けた様子です。高さが37mmしか無いので『Dan Cases A4-SFX v4』にも問題なく入ります。
SSDを取り付け
『Dan Cases A4-SFX v4』には、フロントパネル内部に2.5インチのストレージを取り付けられるようになっているので、こちらに裏からネジ止めしてSSDを取り付けます。
ここ以外にもケース底面に2.5インチのストレージを取り付けられる箇所があり、2.5インチストレージが最大3基まで搭載可能となっています。(SFX-L電源を使った場合は、最大2基まで搭載可能)
マザーボードの組み込み
『Dan Cases A4-SFX v4』にマザーボードを組み込んでいきます。
まず先にケース背面にI/Oパネルを取り付けて
その後マザーボードを設置し、ネジ止めしていきます。
そしてケースに付属しているライザーケーブルを使い、マザーボードのPCI Expressスロットに差し込みます。
こうすることによって、マザーボードとグラフィックボードを分離してケースの中に収めることが可能になります。
電源ユニットの取り付け
次は電源ユニットを取り付けます。『Dan Cases A4-SFX v4』は、一般的なATX規格の電源は使用できず、「SFX規格」もしくは「SFX-L規格」という小さいサイズの電源を使う必要があります。
そこで、新しく『Corsair SF600 Platinum CP-9020182-JP』を購入しました。
こちらは「80PLUS PLATINUM」認証の高電力変換効率電源となっている上に、必要なケーブルのみを接続できるプラグイン方式を採用しています。
『Dan Cases A4-SFX v4』の様なスペースが限られているケースの場合、プラグイン方式の電源がおすすめです。
電源をケースにつけてみるも問題発生
『Corsair SF600』を取り付けてみた所で問題が起こりました。
マニュアルを見ると、電源ケーブルをフロントパネルを経由して繋げるようになっています。
マニュアルを同じように繋げようとしたら、電源コネクタ部分の方向が逆で取り付けが出来ません・・・。
このままでは仕方ないので、一旦フレームのネジを外しケースを分解して、逆方向からケーブルを通すことにしました。
なんとか配線できました。『Dan Cases A4-SFX v4』は、フレームもネジを外せば分解できるので、このような事が起きても対処は可能です。
電源の取り付けに多少手間取りましたが、なんとかマザーボードと電源はケースに設置できました。ケースが小さいので空間に余裕が無く、ケーブルを収めるのに一苦労です。
当初は静音性を重視して、サイズが大きめのSFX-L規格の電源も検討しましたが、このケーブル類の余裕の無さを考えると、SFX規格の電源で良かったかなと思っています。
グラフィックボードを取り付け
続いてグラフィックボードを取り付けていきます。背面ネジを外し、グラフィックボードを取り付けて、6ピンの補助電源を付けます。
今まで使っていたグラフィックボードは「Radeon RX570」のショートサイズです。これは今まで使っていたケース『Lian-Li PC-Q33』があまり長いサイズのグラフィックボードを使えなかったので、わざわざショートサイズを選択していました。
『Dan Cases A4-SFX v4』は約30cmまでのグラフィックボードが搭載できるので、今後グラフィックボードを買い換える時は、もっとパワフルな製品が選べそうです。グラフィックボードを新調する時が楽しみになりました。
動作確認をして完成
これで一通りパーツは組み終えたので、動作確認をしていきます。
無事Windowsが立ち上がりました。
最後にサイドパネルをはめ込んで完成です。
トップパネルとサイドパネルがパンチング加工で穴が空いているので、ケース自体の静音性は無いので、動作音がうるさいかと思いましたが、CPUクーラーは『Noctua NH-L9a-AM4』にしたおかげかあまりうるさくありません。
ただ、グラフィックボードの「Radeon RX570」は、ショートサイズのシングルファンという事もあり、負荷が高くなるとかなり音がうるさくなります。
ただ、今後グラフィックボードを買い換える際は静音性の高い製品を選べるので、そのうち買い替えたいと思います。
Dan Cases A4-SFX v4のレビューまとめ
ケース自体がかなり小さいので、ケーブル類の処理がとても大変だったりと苦労した部分も多かったですが、久々に満足するケースに出会えたなと感じました。
スペースに全く無駄が無い上に、フルサイズグラフィックボードを搭載できるなど「コンパクトなのに高性能」というロマンを実現できるケースです。
昨今のPCはピカピカ光るものも多いですが、個人的には光るのは嫌いで、シンプルで洗練されているものが好きなので、このケースはデザイン面でも気に入っています。
PCケースとしては結構価格が高いのがネックですが、それ以上の満足感が得られるので、小型のケースを探している方にオススメです。
COMMENT