ワイヤレスイヤホンを選ぶ時の”ポイント”って何でしょうか?「音質」はもちろんの事、「ノイズキャンセリング性能」や「デザイン」「価格」も、もちろん重要ですね。
最近のトレンドとしては、複数デバイスと同時接続できる「マルチポイント接続」や、ケーブルいらずで充電できる「ワイヤレス充電」なんかも、使い勝手に直結する機能なので欲しい所です。
今回レビューする『Nothing Ear (2) 』は、これらを全て高い次元で兼ね備えた完全ワイヤレスイヤホン。

機能面だけではなく、パッケージデザインや付属品類一つ一つにも拘り抜かれたデザインで、独自の世界観を生み出す本製品は、所有する喜びや満足感を感じさせてくれるイヤホンです。
今回、メーカー様より特別に先行レビューする機会をいただき、じっくりと使ってみました。気になる「音質」や「ノイズキャンセリング性能」の他にも「デザイン」や「独自アプリ」なんかも詳しく検証しましたので、『Nothing Ear (2)』が気になっている方は、是非本記事を参考にしてください。
本記事はメーカー様より製品をご提供頂き、作成しております。
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Nothing Ear (2)とは?
ロンドンのテクノロジー企業Nothing(ナッシング)から販売された、同社最新のワイヤレスイヤホンが『Nothing Ear (2)』
Nothingは、2020年に彗星の如く登場したメーカーで、同社が初めて世に出した『Nothing Ear (1)』は、イヤホンの中身が透けて見えるスケルトンデザインを採用し、注目を集めました。

その後も『Nothing Phone (1) 』『Nothing Ear (stick)』と、立て続けにプロダクトをリリース。
どちらもその高いデザイン性と性能が評価され、今最も注目されているテック企業の一つであることに疑いの余地はありません。
そんなNothingの最新完全ワイヤレスイヤホン『Nothing Ear (2)』は、同社のシンボルであるスケルトンデザインを継承しつつ、構造を見直し、全体的な完成度を高めた渾身の製品となっています。
スペック
Nothing Ear (2) | |
---|---|
Bluetooth | 5.3 |
対応コーデック | SBC / AAC / LHDC |
ハイレゾ対応 | ◯ |
ドライバー | 11.6mmカスタムダイナミックドライバー |
連続再生時間 | ANC:OFF 本体のみ:6.3時間 ケース充電込:36時間 ANC:ON 本体のみ:4時間 ケース充電込:22.5時間 |
急速充電 | 約10分で8時間再生 |
充電方法 | USB-C、Qi対応ワイヤレス充電 |
防水性能 | イヤホン本体:IP54 充電ケース:IP55 |
ノイズキャンセリング | ANCノイズキャンセリング(最大-40dB) |
低遅延モード | ○ |
マルチポイント接続 | ○ |
ワイヤレス充電 | ○ |
サイズ | 55.5×55.5×22mm(ケース込) |
重量 | 4.5g(イヤホン本体) 51.9g(イヤホン+充電ケース) |
価格 | 22,800円(税込) |
スペックを踏まえた『Nothing Ear (2)』の、主な特徴は以下の通り。
- 他には類を見ないスケルトンデザインを採用
- 11.6mmカスタムダイナミックドライバーによるクリアなサウンド
- それぞれの聴覚に合わせたパーソナルサウンドプロファイル機能を搭載
- 環境音に応じてノイズキャンセルレベルを自動調節する「Adaptive Mode」を搭載
- マルチポイント接続、ワイヤレス充電に対応
- ハイレゾコーデックとしてLHDC 5.0に対応
- 再生時間は短め
他には類を見ないスケルトンデザインに目が行きますが、イヤホンとしての実力もなかなかのもの。
11.6mmカスタムダイナミックドライバーによる、透明感あるサウンドに加え、付ける人それぞれの聴覚に合わせて適切な音質に調整する「パーソナルサウンドプロファイル機能」、環境音に応じてノイズキャンセルレベルを自動調節する「Adaptive Mode」搭載のANC、「マルチポイント接続」「ワイヤレス充電」など、機能面では必要十分。
ただ気になるのは、連続再生時間の短さ。ANCをオンにすると4時間しか持ちません。現在主流のワイヤレスイヤホンは、ANCをオンにしても6〜8時間程度使える事を考えると、正直短いなといった印象。
また、本製品はハイレゾ対応としているものの、ハイレゾ対応コーデックが「LHDC」という点も気になります。
LHDCはファーウェイが開発したBluetooth用の高音質コーデックで、iPhoneはもちろん非対応。Androidでも対応しているスマホがほとんど無いという状況。
SONYが開発したハイレゾ対応コーデックである「LDAC」ならば、対応しているAndroid端末も多いため、メリットを享受できるのですが、今後も「LDAC」には対応する予定は無いとのこと。
パッケージの内容
『Nothing Ear (2)』を開封し、パッケージ内容や本体外観を見ていきます。


Nothingの製品は、パッケージ1つとっても高いこだわりが感じられるデザイン。
外装はイヤホン本体の写真が大胆にプリントされており目を引きます。

パッケージの開封方法も独特。


お菓子の箱みたいに、ビリビリと破っていき開封します。
そのため、一回開けてしまうともう元には戻せない仕様。これは賛否分かれる部分かもしれませんね。
ただ、単純な「開封」という作業ですら印象的なものになるのは間違いなく、「体験」を重視するNothingらしいデザインの様に思います。


そうして蓋を開けていくと、まずアプリの案内や取扱説明書が現れ、その下にイヤホン本体が収めされています。

イヤホンの下には、イヤーチップなどの付属品類が。
付属品が収められている小箱にもNothingらしいドットフォントが採用されており、世界観の統一がなされています。

- Nothing Ear (2) イヤホン本体×1
- イヤーチップ S/M/L ×1
- 充電用USB-C to Cケーブル ×1
- ユーザーガイド ×1
- 安全と保証に関する情報 ×1


付属する説明書類。「安全と保証に関する情報」の方は、多言語化されており日本語での表記もありますが、使い方が載っている「ユーザーガイド」は英語のみとなっています。
ただ、イラストが使われており分かりやすくなっているのと、後述する「アプリ」を見れば使い方は分かるので、それほど問題は無いと思います。

付属するイヤーチップは「S/M/L」の3種類。
予めイヤホン本体にはMサイズがセットされています。

付属してくる充電用のUSB-Cケーブル。この手の製品には珍しく、両方の端子がUSB-Cになっている「USB-C to C」ケーブルが付属します。
また、見た目や質感も独特。布巻きケーブルの周りにさらに皮膜で保護されており、断線しづらそう。
本体外観・サイズ感
『Nothing Ear (2)』の本体外観やサイズ感を見ていきます。

『Nothing Ear (2)』の充電ケース。
透明なデザインが目を引きます。

充電ケース背面。
あまり機械的に見えないデザインながらも、充電ケースはQi規格のワイヤレス充電に対応しています。

充電ケース側面には、充電用のUSB-Cポートと、セットアップボタンがあります。
このボタンは、ペアリング時やリセット時に使用します。


充電ケースはマグネットが付いており、イヤホンを取り出す際はパカッと開くデザイン。
宝石箱の様で面白いですね。

一方で、一般的なイヤホンと異なり、寝かすような感じで充電ケースに収納するので、最初はイヤホンを収納する際に少し手間取ります。
慣れてしまえば問題ないのですが、特殊な形状をしている弊害と言えます。

イヤホン本体。
実際手にとってみると、かなりコンパクトで軽いのが分かります。

イヤホン本体は『AirPods』の様な丸みをおびた形状。

伸びたステム(軸)部分には、「プレスコントロール」が搭載されており、指でつまんで各種操作が可能。
タッチ操作よりも誤作動が少なく、操作性が良いのが特徴。

イヤホン本体もしっかりとスケルトンデザインで、内部の基板やパーツが見えます。
こういうのって男心くすぐりますよね…。
しかし、スケルトンとは言えメカメカしさが少なく、女性が使っても違和感が無さそうなのは、全体的に洗練されており、デザインのレベルが高いという事なんだと思います。

イヤホン外側には、LやRの代わりに赤と白の印が付いています。
デザイン的にはオシャレなのですが、慣れるまではどっちがどっちか分かりづらいというのは欠点と言えるでしょうか。

イヤホン本体の重量は、左右合わせて実測で9g。
最近のイヤホンにしては、かなり軽量だなという印象。

充電ケースも合わせた総重量は実測で60.6g。
イヤホン本体は非常に軽かったのですが、充電ケースも含めると一般的な水準といった感じ。
Nothing Ear (2)の使用レビュー
ここからは実際に『Nothing Ear (2)』を使い、音質や使い勝手を見ていきます。

装着感
実際に耳に装着した様子。


装着した時に見えるスケルトンのボディがオシャレな印象です。
イヤホン本体がコンパクトで軽量な為、軽い感じで付けられ装着感は良好。
カナル型特有の圧迫感もあまり感じません。
イヤーピースも柔らかく、しっかりと耳にフィットしてくれているので、多少顔を動かしたとしてもすぐに取れることは無さそう。
操作方法
『Nothing Ear (2)』は、軸(ステム)部分を指でつまむ「プレスコントロール」によって、イヤホン単体で各種操作が可能。
動作・状態 | L側(左) | R側(右) |
---|---|---|
再生/停止 | 1回押す | |
曲送り | 2回押す | |
曲戻し | 3回押す | |
通話応答/終了 | 1回押す | |
着信拒否 | 着信中、2回押し | |
ノイズコントロール | 長押し |
初期状態では上記の様に、左右全く同じ操作で、音量の変更なども出来ないシンプルな設定となっていますが、操作方法は専用アプリ「Nothing X」を使うことで、細かくカスタマイズが可能。
アプリを使うと左右それぞれの操作に対してアクションが割り当てられるので、様々な操作がイヤホンだけで完結出来るようになります。
音質
気になる音質のチェックをしていきます。
『Nothing Ear (2)』は、専用アプリによる音質のカスタマイズをすることによって、真の実力が発揮できますが、まずは初期状態での音質を確認。

音質は、一言でいうとバランスの良い優等生サウンドといった印象。
全体的な解像感は高く、中〜高音域にかけて伸びやかでクリアな音。音場が広く、音に包まれるようなサウンドは心地よく、あらゆるジャンルの音楽にマッチしてくれそう。
ただ一方で「音の迫力」みたいなものは少し弱いようにも感じます。ガツンとした音が好きな人には少し物足りなさを感じる部分はあるかもしれません。
……と、ここまでが初期状態での評価。
本製品は、後述する「Nothing X」アプリに搭載されている「サウンドパーソナライゼーション」を使うと、「使用するユーザーの聴力に応じた音質カスタマイズ」をすることが可能。
これにより、元より優秀だった音質に更に磨きがかかり、このクラスとしては最高峰と呼べるくらいのハイクオリティサウンドに変化します。
ノイズキャンセリング
ノイズキャンセリング性能は、スペック上では-40dBの性能を有していると謳われていますが、実際に使ってみてもかなり優秀だと思います。
エアコンやファンなどの生活音に関しては、ほぼ無音に近いくらいまでカットしてくれ、僕が持っている『AirPods Pro(第一世代)』よりも強力だと感じました。
ただ、人の声とかに対してはそこまで強力という感じでも無さそう。ノイキャン効かせながらでも子供たちの声はそれなりに聞こえてきました。
また、ノイズキャンセルって強すぎると耳を塞いだような不快感があるのですが、本機はその様な事もなく、日常的に使える優秀なノイズキャンセリング性能だと思いました。
外音取り込み
本機に搭載されている外音取り込みは、一言で性能を表すと「そこそこ」と言った所。
人の声が多少機械音っぽくなったり、音域が狭く聴こえるなど、気になる点はあるものの、普段の生活で使う分には問題は無さそう。
モード切替時の効果音が独特
『Nothing Ear (2)』は、軸部分をつまむと「ノイズキャンセリング↔外音取り込み」とモードの切替ができますが、切り替え時は言葉じゃなくて効果音でアナウンスしてくれます。
ノイズキャンセリング時は、スポンっと穴に潜った様な効果音が鳴り、外音取り込みにした時は、ふうっと息継ぎの様な効果音が鳴ります。
それぞれのシチュエーションを表現する様な効果音が採用されており、面白いなと思う反面、分かりやすさで言えば、普通の英語アナウンスの方が分かりやすいかなと思いました。
専用アプリ「Nothing X」の使い方
『Nothing Ear (2)』は、専用アプリ「Nothing X」を使うことにより、各種操作のカスタマイズや、使う人それぞれに合わせた音質調整などが行なえます。
アプリのダウンロードは以下から。
アプリで出来ることは多岐にわたります。


「イコライザ」や、イヤホン本体の操作方法をカスタマイズできる「コントロール」を初め、「低遅延モードの切り替え」「イヤーチップのフィットテスト」「ファームウェア更新」など、様々な機能が搭載されています。
コントロール設定


コントロール設定からは、イヤホン本体の操作方法をカスタマイズできます。
左右それぞれに機能を割り当てる事ができ、初期設定では対応していない音量の上げ下げもここで設定可能。
「2度押して長押し」という操作がデフォルトでは何も割り当てられていないので、ここに音量の上げ下げを割り当てると、元々の操作性を失わないのでおすすめ。
イコライザ


イコライザは、予め用意されているプリセットから選ぶか、カスタムで自分好みに設定も可能。
ただ、音域別に細かく調整が出来るわけではなく、ザックリとした調整具合といった感じです。



本アプリ目玉機能の一つがこの「サウンドパーソナライゼーション」
これは、聴力のテストを行い、使う人それぞれの聴力に合わせた音のカスタマイズをするという機能。
実際にやってみると、聴力の検査はかなり本格的。健康診断の時に行う聴力検査によく似ており、ピーという音が鳴っている間はボタンを押し続けるという操作を繰り返すことで、聴力を測定します。
さて、気になるサウンドパーソナライゼーションの効果ですが、結構音質が変化します。
初期状態でも音質は良好でしたが、サウンドパーソナライゼーションを効かせると、主に中高音域のベールが1枚剥がれ、更に見通しの良いサウンドになりました。
イコライザとの同時使用も可能なので、イコライザで若干不足気味な低音を強調しながらサウンドパーソナライゼーションを効かせると、驚くほど迫力のある音質へと変化します。
もちろん人によって効き方は異なるのでしょうが、個人的に『Nothing Ear (2)』を使うなら、このサウンドパーソナライゼーションは必須だと感じました。
ノイズコントロール


アプリからはノイズキャンセリングの効き具合を調節することが可能です。
「高・中・低」に加えて、周囲の騒音レベルに合わせて自動的に効き具合を調整してくれる「アダプティプ」も選択可能。
「アダプティブ」の場合、常に「高」にしているよりもバッテリーの持ちが良くなるというメリットがありますが、ノイズキャンセリングレベルが切り替わる時に耳が詰まるような違和感があります。
個人的にはずっと「高」で良いかなと感じました。
また、ノイズコントロールの方も、各ユーザーの耳の形に合うようにパーソナライズされた「Personalised ANC」を使うことが可能。
ただ、こちらは実際にテストして使ってみましたが、イコライザほど劇的な変化は感じられませんでした。
マルチポイント接続はアプリから有効にする
『Nothing Ear (2)』で搭載された目玉機能の一つが、最大2台までのデバイスと同時に接続し、シームレスに切り替えながら使える「マルチポイント接続」。
こちら初期状態ではOFFになっていますので、アプリの設定画面から有効にします。


スマホとパソコンを同時接続させると、スマホで音楽を聴きつつ、オンライン会議のタイミングでパソコンに切り替えて参加できるなど、より幅広くイヤホンを活用することが可能。
複数のデバイスを持っている方にとってはかなりメリットの大きい機能です。使いたい場合アプリから有効にしておきましょう。
Nothing Ear (2)のレビューまとめ
『Nothing Ear (2)』は、現在最も注目されているテック企業「Nothing」から販売された最新の完全ワイヤレスイヤホン。
パッと見た感じそのスケルトンデザインが目を引きますが、ワイヤレスイヤホンとしての実力もかなりのもの。
音質面ではバランスの良いクリアなサウンドで、初期状態でも十分に音の良さを感じますが、アプリからサウンドパーソナライゼーションを有効にする事で、更にもう1段上の磨きがかかった音質へと変化します。
また、強力なノイズキャンセリング性能も魅力。耳が詰まるような違和感も少なく、生活音をしっかりとカットしてくれる、日常的に使いやすいノイズキャンセリングとなっていました。
残念な点としては、ANCをオンにすると連続再生時間が4時間とかなり短くなってしまう点と、ハイレゾ対応という割には「LHDC」というマイナーなコーデックにしか対応していない点。
再生時間はイヤホン本体が小さいので、如何ともし難い部分ではありますが、再生コーデックに関してはAACでも十分に音質が良いと感じたので、そこまで大きな問題では無さそうです。

「デザイン・音質・ノイズキャンセリング・操作性」、全てに置いて一定水準以上の品質を持つ『Nothing Ear (2)』。確かな品質の完全ワイヤレスイヤホンが欲しいという方は、ぜひ公式サイトでチェックしてみてください。
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