スマートフォンやワイヤレスイヤホンの界隈において、独創的なデザインで多くのファンを集めるのが「Nothing(ナッシング)」。
僕も以前『Nothing Ear (2)』をレビューしましたが、バランスの取れた音質とスケルトンデザインが素敵で、今もメインイヤホンとして使っています。
今回紹介するのは、そんな「Nothing」のサブブランドである「CMF by NOTHING」から販売されているワイヤレスイヤホン『CMF by NOTHING BUDS PRO』
Nothingならではの高いデザイン性を引き継ぎつつ、かなり安価な価格設定になっており、より手に取りやすくなっているのが特徴です。
本記事では『CMF by NOTHING BUDS PRO』を使い、デザインや使い勝手、音質、ノイズキャンセリング性能など詳しく見ていきます。
1万円以下のワイヤレスイヤホンを探している方は、是非本記事を参考にしてください。
本記事はメーカー様より製品をご提供頂き、作成しております。
なお、記事内容についてメーカー様からの指示は無く、率直な意見・感想を記載しています。
タップできる目次
CMF by NOTHING BUDS PROとは?
ロンドンのテクノロジー企業「Nothing(ナッシング)」から「優れたデザインをより身近なものに」というコンセプト元に作られたブランドが「CMF by NOTHING」。
Nothingならではの洗練されたデザインを採用しつつ、コア機能に焦点を絞った製品づくりがされているので、価格がグッと抑えられているのが特徴です。
スペックと主な特徴
CMF by NOTHING BUDS PRO | |
---|---|
Bluetooth | 5.3 |
対応コーデック | SBC / AAC |
ドライバー | 10mmダイナミックドライバー |
連続再生時間 |
ANC:OFF 本体のみ:11時間 ケース充電込:39時間 ANC:ON 本体のみ:6.5時間 ケース充電込:22時間 |
急速充電 | 約10分で3時間再生 |
充電方法 | USB-C |
防水性能 | IP54 |
ノイズキャンセリング | ANCノイズキャンセリング(最大-45dB) |
低遅延モード | ◯ |
マルチポイント接続 | − |
ワイヤレス充電 | − |
サイズ | 57×57×24mm(ケース込) |
カラー | ダークグレー/ライトグレー/オレンジ |
重量 | 4.8g(イヤホン本体) 54.6g(イヤホン+充電ケース) |
価格 | 7,350円(税込) |
『CMF by NOTHING BUDS PRO』は、Nothingのサブブランドではありますが、デザインに関してはNothing同様に優れたものとなっており、他のワイヤレスイヤホンとは一線を画したものとなっています。
また、最近では低価格帯の製品にもANC(アクティブノイズキャンセリング)が搭載されることも珍しくなくなりましたが、本製品は「-45dB」というかなり強力な性能を誇っており、同価格帯の中ではトップクラスの性能と言えるほどのスペック。
イヤホン本体のスペックとしては、上手くまとまっていますが、「マルチポイント接続」や「ワイヤレス充電」など、”付加価値”は省かれており、コストダウンが図られている部分が見え隠れします。
それでは、パッケージを開封し、同梱物や本体デザインを見ていきます。
パッケージの内容
『CMF by NOTHING BUDS PRO』のパッケージは、あまり見たことが無い独特なデザイン。
厚紙に製品が挟まれているだけの簡易的なものながら、デザイン性が高くオシャレな雰囲気を出しているのは流石Nothingだな…と思わせてくれます。
側面にあるOPENというシールで固定されているので、これを剥がして開封。
パカッと開いた様子。中身はかなりシンプル。
こういった部分を簡素にすることでコストダウンを図っているものと思われますが、それでも安っぽさを感じないのは洗練されたデザインによるものかなと思います。
パッケージ内容は上記の通り。
付属のユーザーガイドはNothingらしいドットフォントが使われておりオシャレ。
中身は多言語化されており、日本語での表記もあります。
ただ、内容としてはそこまで詳細に書かれているわけではないので、詳しく仕様を確認したい場合、公式サイトを見たほうが良さそう。
付属のUSB-A to Cケーブル。長さは50cmほどと短く、あくまで充電用といった所。
付属のイヤーピース。S/M/Lの3種類が付属し、イヤホン本体には予めMサイズが取り付けられています。
充電ケース・イヤホン本体のデザイン
充電ケースは円形型で、マットな質感。
全体的に装飾がほぼ無いミニマルデザインになっており、かなりオシャレ。
ワイヤレスイヤホンのケースというよりは、どことなく化粧品の様な雰囲気を感じるデザインになっています。
なお、今回使っている色は「ライトグレー」ですが、充電ケースに関しては完全に白ですね。
唯一ある装飾がケース表面に刻印されているロゴ。
ロゴ自体アイコンの様なデザインに加え、刻印もうっすらと目立たず調和しています。
ケース裏面には充電用のUSB-Cポート。
ケース底面には装飾が全くありません。シンプルイズベスト。
充電ケースをパカッと開けるとイヤホン本体が収められていました。
充電ケース内側には各種認証マークが見えます。
なお、ここに技適マークが無いですが、ちゃんとパッケージの方にマーク付いているのでご安心を。
蓋をあけるとケースに内蔵されたLEDが光ってバッテリー残量を教えてくれます。
充電ケース内側。下部にはリセットボタンが見えます。
ただ、こちらにL/Rの表記や目印は無く、イヤホンを収納する際に少し分かりづらいかなと思いました。
イヤホン本体のデザイン。
カナル型という事で、形状としては『AirPods Pro』や『Ear (2)』に近いものとなっています。
イヤホン内側。
装着センサーが埋め込まれているであろう黒いラインなども含めて『AirPods Pro』に近いデザインとなっています。
なお、イヤホン本体にもL/R表記が無いので、ケースに収納する際に分かりづらいのは難点ですね。
ドライバーは10mmのダイナミックドライバーを採用。
ちょっと気になったのは軸(ステム)表面部分の質感。
ハウジング部分、および軸内側が光沢のあるものだったのに対し、表面部分は光沢が無くプラスチック感を感じます。
ステムにはマイクが内蔵されており、上下に穴が設けられています。
イヤホン本体の重量は実測で9.7g。
充電ケースを含んだ総重量は実測で54.6gとなっています。
軽量なので、持ち運びにも便利。
CMF by NOTHING BUDS PROの使用レビュー
『CMF by NOTHING BUDS PRO』を使い、装着感や音質などを詳しく見ていきます。
装着した様子
装着するとこんな感じです。
装着感としては良好で、軽い感じで付けられます。
また、カナル型にしては密閉感があまり無く、圧迫感をあまり感じないのは良いですね。
操作方法
『CMF by NOTHING BUDS PRO』は軸(ステム)部分をタッチすることで、各種操作が可能です。
動作・状態 | L側(左) | R側(右) |
---|---|---|
曲送り | 2回タップ | |
曲戻し | 3回タップ | |
通話応答/終了 | 2回タップ | |
着信拒否 | 3回タップ | |
ノイズコントロール | 長押し |
初期状態では上記の様になっており、左右どちらも同じ動作をしますが、後述する専用アプリ「Nothing X」を使うことで、左右それぞれに機能を割り当てる事ができます。
ただ、ワイヤレスイヤホンによくある「1回タップ」の動作は無く、アプリを使っても割り当てる事は出来ません。
1回タップは誤作動を起こしやすく、意図せず曲が流れてしまうこともあるので、個人的には無くても良いかなと思ったりもしますが、他のイヤホンで1回タップを使っている人も多いと思うので、アプリから追加できれば良いのになと思います。
音質
気になる音質をレビューしていきます。
安価なイヤホンにありがちな、音がこもる感じはなくクリアなサウンド。低音も結構強めで響いてくれ、全体的にはバランスが良く万人受けしそうな音質といった感じ。
…と、ここまではノイズキャンセリングがOFFの時の音質。
本製品はノイズキャンセリングをONにすると結構音質が変わり、低音がグッと強調されるようになります。
低音が好きな方には良いのかもしれませんが、個人的にはちょっと低音が強調されすぎててバランスが悪い様に思いました。ノイズキャンセリングを使いたい場合、後述するアプリのイコライザで調整した方が良いかもしれません。
また、全体的にバランスは取れているのですが『Ear (2)』を始めとした上位価格帯のイヤホンと比較してしまうと、音の厚みが無く軽い印象を受けます。ボーカルも艶っぽさに欠け、乾いた声に聴こえてしまう部分もあります。
とはいえ、これはあくまでも上位価格帯と比較した時の話。本製品は7,000円台ですからね。
僕も実際ファーストインプレッションとしては、おや?思ってたより音良いな…と思ったくらいなので、初めてワイヤレスイヤホンを買う方や、もっと低価格な製品から買い替えた場合も十分に満足できる音質に仕上がっていると思います。
ノイズキャンセリング
スペック上では「-45dB」という強力なノイズキャンセリング性能を誇る『CMF by NOTHING BUDS PRO』。
実際に試してみましたが、得意な音域と苦手な音域がありそうな感じです。
空調などのファンノイズに対してはかなり強力に消してくれ、スッと静寂に包まれる感覚があります。ただ、人の声などに対しては少し効きが弱いようにも感じます。
この様に、全ての音を消し去ってくれるというものではありませんが、7千円台という価格を考えると十分に実用的なレベルに仕上がってると思いました。
外音取り込み
『CMF by NOTHING BUDS PRO』は外音取り込みにも対応しています。
性能はそこそこといった所でしょうか。
多少音が詰まっているような感覚がありますが、人の声とかもちゃんと綺麗に聞き取れるので、実用性は十分かなと思います。
専用アプリ「Nothing X」の使い方
『CMF by NOTHING BUDS PRO』は、『Nothing Ear (2)』と同じ専用アプリ「Nothing X」が使えます。
ただ、全ての項目が『Ear (2)』と同じというわけではないので、その辺りの差を見ていきます。
アプリのダウンロードは以下から。
Nothing X
Nothing Technology Limited無料posted withアプリーチ
ホーム画面と設定画面。
「Nothing X」はUIがシンプルで分かりやすく「Ear (2)」の頃から気に入っているアプリなので、『CMF by NOTHING BUDS PRO』でも同じアプリで設定できるのは喜ばしいです。
ただ流石に機能は絞られており「Ear (2)」にあるような、ユーザーそれぞれに合わせて音質やノイズキャンセリングを調整する「パーソナライズ機能」はゴッソリと無くなっています。
遅延を少なくする「低レイテンシーモード」などもこちらの設定画面より有効にできます。
イコライザー
イコライザ設定画面。
予め4つのプリセットが用意されているほか、自分でカスタムすることも可能。
カスタムイコライザーですが「高音/中音/低音」をそれぞれ±6の範囲で調整可能。
「Ear (2)」の場合、各音域毎に細かく調整できるイコライザを使えるのですが『CMF by NOTHING BUDS PRO』では、その機能が省かれています。
実際に使った所、視覚的に分かりやすく調整しやすいのはメリットと言えますが、細かい調整が出来ず好みの音に調整するのが難しいように感じました。
個人的には予め用意されているプリセットの方が好み。
コントロール
「コントロール」では、イヤホン本体の動作をカスタマイズできます。
初期状態では左右共通の操作が割り当てられており、音量の上げ下げも出来ない状態ですが、ここで設定することにより、左右それぞれに独立した操作を割り当てられるようになります。
ノイズコントロール
ノイズコントロール切替画面。
ノイズキャンセリングの強さは3段階から選択可能。
また、外音取り込み、ノイズコントロールオフもこちらから選択できます。
CMF by NOTHING BUDS PROのレビューまとめ
『CMF by NOTHING BUDS PRO』は、Nothingのサブブランド「CMF by NOTHING」から販売されているワイヤレスイヤホン。
Nothingならではの高いデザイン性を持ち、パッケージから充電ケース、イヤホン本体まで独創的なデザインで統一されており、ブランドとしての統一感を感じられる製品となっています。
イヤホンの性能としては、バランスの取れた音質、強力なノイズキャンセリング、アプリによるカスタマイズなど、全体的に使いやすいものになっており、「CMF by NOTHING」として初めてのリリースながら完成度は高く感じました。
マルチポイント接続、ワイヤレス充電など”付加価値”の部分が省かれているのが残念ですが、7,000円台という価格を考えると仕方ないのかなとも思います。
「お手頃価格でデザインの良いワイヤレスイヤホンが欲しい」という人や「初めてワイヤレスイヤホンを買う」といった人に、『CMF by NOTHING BUDS PRO』は、かなり有力な選択肢ではないかと思いました。
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