「液晶ペンタブレット(液タブ)」と言えば、イラストレーターを始めクリエイターの方が良く使っていますが、高性能なものになると20万とか30万を越えるような価格になっていて、なかなか手が出ません……。
そんな中で、6〜7万円台という価格ながら、15.8インチ、2.5K(2560×1440ピクセル)の解像度を持ち、色域はsRGB145%という非常に高い色表現力を持った液タブが本記事で紹介する『HUION Kamvas Pro 16(2.5K) 』。
液晶タブレット本体の基本性能が高いのに加え、USB-Cケーブル1本で接続、バッテリー不要ながらも8192段階の筆圧検知に対応するデジタルペン、角度が調整可能なスタンドが付属など、使いやすさと充実した付属品も魅力的な本製品。
イラストレーターはもちろん、写真編集をする人にも最適な本製品をじっくりと使ってみましたので、その使い勝手やメリット・デメリットなどを詳しくレビューしていきます。
液タブが気になっているという方は、ぜひ本記事をご覧ください。
本記事はメーカー様より製品をご提供頂き、作成しております。
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HUION Kamvas Pro 16(2.5K)とは?
『HUION Kamvas Pro 16(2.5K)』は、数多くのペンタブレットやスマートノートブックなどをを販売しているHUION(フイオン)から販売されている、液晶ペンタブレット。
同社の液晶ペンタブレット「Kamvas」シリーズは、高い性能を持ちながら、他メーカーと比べて価格が安く、コスパが良い液タブという事で、日本国内でも人気があるブランドです。
スペック
HUION Kamvas Pro 16(2.5K) | |
---|---|
型番 | GT1602 |
画面サイズ | 15.8インチ |
画面解像度 | 2560×1440(QHD) |
パネル | IPS方式 |
視野角 | 178° |
フルラミネーション | ○ |
コントラスト比 | 1200:1 |
最大輝度 | 220cd/m2 |
色域 | 145% sRGB |
表示色 | 約1,670万色 |
カラー | シルバーフロスト |
サイズ | 436.2×247.3×10〜11.5mm |
重量 | 1.28kg |
スペックを踏まえた『HUION Kamvas Pro 16(2.5K)』の主な特徴は以下の通り。
15.8インチというサイズに2.5Kという解像度、更にIPS液晶で視野角が広く、sRGB 145%の高い色表現力、フルラミネーションにより視差が少ない……と、ディスプレイ部分の性能だけでも、かなりのハイスペック。
それに加え、バッテリー不要で8192段階の筆圧検知が出来るデジタルペン、折りたたみができ、角度調整が可能なスタンドが付属するなど、付属品もかなりの豪華さ。
これだけの内容で6〜7万円台という価格はちょっと信じられないくらいです。
パッケージの内容
『HUION Kamvas Pro 16(2.5K)』を開封してパッケージ内容や本体外観を見ていきます。
本製品は「通常版」「豪華版」の2種類が用意されていますが、今回レビューするのは日本限定の「豪華版」。
「通常版」との違いは、パッケージのデザインと付属品の有無。
「豪華版」の場合、桜をイメージした和風の美しいデザインとなっているのが特徴です。
開封すると「豪華版」限定のクリアファイルやウィッシュリストポスターが入っており、その下にはスタンドなど付属品類が収められています。
「豪華版」の場合、それぞれ個々の付属品箱も外箱と同じ桜のイラストになっており、統一感があって非常に美しいです。
パッケージのデザインや質感って、本体の機能や性能とは全く関係無いのですが、新しいものを開けるときのワクワク感みたいなものって、意外と重要だと思っており、その点において本製品のパッケージは素晴らしいデザインだと思いました。
パッケージ内容は上記の通り。
液タブ本体はもちろん、デジタルペン、折りたたみ可能なスタンドなど、使用する上で必要なものは全て付属されているので、購入したらすぐに使い始めることができます。
「限定版」に付属してくるクリアファイルやウィッシュリストポスター。
これらは特に必須なものでは無いのですが、どれも質感が良くオマケとは思えないくらいのクオリティです。
本体外観・サイズ感
『HUION Kamvas Pro 16(2.5K)』本体の外観やサイズ感を見ていきます。
液タブ本体は15.8インチという大きめのディスプレイを搭載。アンチグレアガラスなので、写り込みや反射が抑えられています。
本体左側にはショートカットキーが割り当てられるボタンが8個搭載されています。
本体の厚みは、1〜1.15cm。一番厚い部分でも1.15cmしかない超薄型設計です。
本体背面はアルミニウム合金素材が使われており、手触りや質感はかなり良いですね。
見た目的にもスタイリッシュで高級感があります。
四隅には滑り止め用の黒いゴム足が付いているので、直置きした時にも滑りにくくなっています。
本体側面は、USB-Cポートが二つ。
一つが「PC接続用」、もう一つが「給電用」となっていますが、PCから十分な給電が出来る場合には、「PC接続用」1本のみで使用可能。
そのため、MacBookなどと接続する場合、ケーブル1本繋ぐだけで使えてしまいます。
本体上部には電源ボタンとLEDがあります。
『14インチ MacBook Pro』と比較した様子。
15.8インチの大型ディスプレイを搭載しているだけあって、大きさはMacBook Proよりも一回り大きいサイズ感。
一方で厚さはかなり薄いのが分かります。
重量は1.28kgと軽量で、持ち運びにも便利。
16インチクラスのPCが入るカバンであれば、本製品も問題なく収納可能です。
折りたたみスタンド
続いて付属のスタンドを見ていきます。
この折りたたみ式スタンド(ST200)ですが、単体で購入しようとすると約6,000円くらいするもの。
そのためか、付属品とは思えないくらいに質感が高いです。
液タブ本体と同じくアルミニウム合金で作られた本体は、剛性があり、しっかりと液タブ本体を差支えてくれます。
角度調整は20°〜60°まで調整可能。
滑り止めも付いており、液タブ本体を置いてもグラつきが少なく、スタンドとしての完成度はなかなかのもの。
デジタルペン
付属するデジタルペンについて詳しく見ていきます。
デジタルペン PW517 | |
---|---|
ペン解像度 | 5080 LPI |
筆圧検知 | 8192段階 |
傾き検知 | ±60° |
精度 | ±0.3mm(Center) ±1mm(Corner) |
仕様は上記の通りなので、引き続き本体のデザインなどを見ていきます。
デジタルペンは、ショートカットキーを割り当てられる2つのボタンが付いています。
持ち手部分はラバーの様になっており、滑りにくいのもポイント。
ペン先は、予め標準芯が付いていますが、付属してくるフェルト芯に変更する事も可能。
ペンスタンドは、横置き・縦置き両対応。
実はこのペンスタンド内に替え芯が収納されています。白っぽい色が「フェルト芯」。フェルト芯を使うと、より紙に近い感覚で書くことができます。
小指、人差し指、手首回りが隠せるグローブも付属。
これにより画面に手が触れた際の誤作動が防げます。
画面を拭くためのクリーニングクロスも付属しています。
HUION Kamvas Pro 16(2.5K)の使用レビュー
『HUION Kamvas Pro 16(2.5K)』を実際に使い、その実力を試していきます。
デバイスとの接続・給電
本製品は、「Android(USB3.1 DP1.2 以上)」「Windows(7以降)」「macOS(10.12以降)」「Linux」と幅広いデバイスに対応しています。
それらのデバイスと接続するために、電源ケーブル類も豊富に用意されていますが、MacBookなどのUSB-Cポートが付いているPCから十分な給電が出来る場合は、ケーブル1本で接続が可能です。
接続もシンプルで分かりやすい上に、見た目もスッキリするのでかなり便利です。
一方、USB-Cが無いPCと接続する場合は、こちらの「複合ケーブル」を使い、HDMIとUSB-Aを使ってPCと接続することも可能。
複合ケーブルは、それぞれのケーブルがバラバラにならずに済むのですが、やはりUSB-C接続と比較するとゴチャゴチャ感はありますね。
複合ケーブル使用時、あるいはUSB-C接続でも電力が足りない場合、こちらのUSB充電アダプターを使って電源を供給します。
最大18Wまでの出力が可能なタイプですが、サイズが比較的大きく、プラグの折りたたみも出来ないので、正直持ち運びにはあまり適していません。
ディスプレイの表示品質
『HUION Kamvas Pro 16(2.5K)』は、sRGB 145%の高い色表現力を持った高品質なディスプレイを採用しています。
そもそも「sRGB」って何?って話なんですが、PCディスプレイにおいて一番標準となっている色域の事です。上の画像の線が「sRGB」が表現できる範囲を表しており、緑色の辺りが狭いというのが特徴です。
基本的なWeb閲覧とかだと全く問題は無いのですが、プロカメラマンなど、写真の色にこだわりのある方だと、もっと色域の広い「Adobe RGB」の高いカバー率を誇るディスプレイを使っていたりします。
さて、本製品は「sRGB 145%」という風に書かれていますが、恐らく「sRGB比145%」の事だと思われ、一般的なsRGBディスプレイと比較して、より広い色域を表現できるのが特徴です。
本来はキャリブレーションソフトなどを使って計測するべきなのですが、持っていないのであくまで見た感じの主観で話をする事を予めご了承ください。
実際に写真編集などを試してみましたが、写真は鮮やかに映り、非常に綺麗だと感じました。
いつも見ている『14インチ MacBook Pro』は高品質なディスプレイを採用していますが、それに引けを取らないくらいの綺麗さです。
使われているパネルはIPS方式なので、視野角が178°と広いのが特徴。
横からみても色変化がほぼ無く、美しさをキープできています。
ギラつき?が少し気になる
発色などは素晴らしいのですが、画面全体に虹色のギラつきや色ムラみたいなものが見えて、それが結構気になります。
特に「白」など、明るい色では顕著に表れます。
これはなんだろう?と調べてみましたが、どうやら写り込み防止用として採用されている「AGガラス」の特性のようです。
AGガラスは、ガラス表面に凹凸形状をつけることにより、反射の映り込みを抑制することで眼の疲労を抑えるガラスで、主にPCやタブレット等のディスプレイ用カバーガラスとして使用されています。製品開発においては、防眩性(光の映り込み抑制)、鮮明性(クリアな映像)、ギラツキ防止(画面上のランダムなムラの発生抑制)という3つの光学特性を全て満足させることが非常に難しく、特に高精細ディスプレイでは液晶パネルとの光学的な干渉が強くなり、ギラツキが悪化してしまうという課題がありました。
AGC株式会社ニュースリリースより引用
そのため、”仕様”という事になりますが、中にはこれが原因で返品してしまった方も居るらしいので、ちょっと注意が必要なポイントと言えます。
OSD設定
画面に関する設定は、OSD(On-Screen Display)設定から行えます。
OSD画面は、電源ボタンを長押しすると表れ、デジタルペンで操作できます。
設定項目は明度・彩度などを始め、色温度など各種ディスプレイの表示に関する設定が行えます。
カラースペースは、最初「Native(sRGB比145%)」となっていますが、「sRGB」「AdobeRGB」にも変更可能なので、ネット上に写真よく上げるといった方は、最初から「sRGB」などに設定しておいた方が良いかもしれません。
デジタルペンで書いてみた様子
続いて、デジタルペンで実際に手書きしてみた様子をレビューします。
このデジタルペンは、バッテリー不要ながらも8192段階の筆圧検知と最大60°の傾き検知、2つのボタンを搭載しているという優れたものです。
実際に手書きした時も、反応が良く、紙に近い感覚で文字を書くことが出来ているなと感じました。
筆圧もしっかりと反映されているように思います。
実際に文字を書いている様子を動画にしていますので、参考にしていただければ。
また、液タブでよく問題視されるのが、ペン先とディスプレイに描画される線がズレる「視差」。実際に使ってみた感覚としては、視差は少なく、ほぼ目で見えている通りの位置に線が書けているように感じました。
専用アプリ「HuionTablet」
WindowsやMacで使う場合、専用アプリ「HuionTablet」を使うことによって、各種設定やカスタマイズを行えます。
「HuionTablet」は、公式サイトからダウンロード出来るので、OSに合わせてダウンロードします。
アプリの内容はシンプル。本体に設置されている8つのボタンに対して、ショートカットキーの割り当てが行えます。
また、ショートカットキーだけではなく「アプリの起動」や、「音量のUP・DOWN」なんかも設定できるので、上手く使いこなせれば大幅に作業効率をアップさせる事が可能。
「作業領域」の設定により、画面にタッチした時の反応を別ディスプレイに反映させることも可能。この設定をすると、本製品を「液タブ」ではなく「板タブ」の様に扱うことができます。
デジタルペンに付いている2つのボタンに対しても、同様に機能を割り当てることが可能です。筆圧の設定も細かく行えるので、好みに合わせてカスタマイズすることが出来ます。
HUION Kamvas Pro 16(2.5K)のレビューまとめ
『HUION Kamvas Pro 16(2.5K)』は、高い表示品質を備えた液晶ペンタブレット。2.5Kの解像度、15.8インチの大型ディスプレイ、sRGB比145%の高い色表現力など、ディスプレイの性能に関してはピカイチ。
それに加え、フルラミネーションなので「視差」が少なく、遅延もほとんど感じない為、イラストを書く際にもストレス無く作業が出来ます。
また、USB-C搭載のPCがあればケーブル1本で繋げられるという使い勝手の良さもポイント。使い勝手・性能の両方を両立させた優れた液晶ペンタブレットだと思います。
反射を抑えるために採用されたAGガラスのせいで、少しギラついて見えるのは残念ですが、この性能と豊富な付属品が付いて6〜7万円台で購入できるというのは、驚きです。
普通にモバイルディスプレイとしても使えるので、イラストレーターはもちろん、写真編集を良くする方やビジネスシーンのお供としても活躍してくれそうな本製品。気になった方はぜひチェックしてみてください。
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