数々のキーボードを手掛けるEPOMAKERから登場した、磁気スイッチ(ホールエフェクトスイッチ) を採用し、ラピッドトリガーに対応した高性能なゲーミングキーボードが『HE80』です。

以前同社のラピッドトリガー対応キーボードとして『HE68 Lite』をレビューしたことがありますが、本製品は同じく「HE」シリーズでありながら、75%レイアウトで82キーを搭載していることによって、ゲーミングだけじゃなく普段使いでも使いやすいキーボードになっているのが特徴。
結論から言うと、『HE80』は磁気スイッチ×ラピッドトリガーという高性能を備えながら、1万円ちょっとというコスパの良さが際立つゲーミングキーボードです。
8,000Hzポーリング、32,000Hzスキャン、0.125ms遅延、0.02mm単位のアクチュエーションポイント調整など、スペック面もかなり気合いが入っています。実際にしばらく使ってみましたので、使い勝手・打鍵感・打鍵音・カスタマイズ性などを詳しくレビューしていきます。
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EPOMAKER HE80とは?

最近のゲーミングキーボードにおいて”必須”とも言われる機能の一つが「ラピッドトリガー」。従来のメカニカルキーボードより素早いキー入力ができることから、eスポーツを中心に使用プレーヤーが増えています。
このラピッドトリガーを実現するために採用されているのが 磁気スイッチ(ホールエフェクトスイッチ) です。従来のメカニカルスイッチのように物理的な接点でON/OFFを判断するのではなく、磁力の変化でキーの押し込み量を連続的に検知する仕組み。これによって「どこまで押し込んだか」をミリ単位で判定できるようになり、アクチュエーションポイントの自由な調整やラピッドトリガーといった機能が可能になっています。
ラピッドトリガー対応キーボードは、その性能の高さ故に価格が高く、大手メーカー製品だと2〜4万円ほどすることもザラですが、本記事で紹介する『HE80』は1万円ちょっとという価格で買える高コスパなゲーミングキーボードなんですよね。
8,000Hzのポーリングレート、32,000Hzのスキャンレート、0.1〜3.3mmの範囲で調整できるアクチュエーションポイントなど、スペック面も非常に充実しています。
スペック
| EPOMAKER HE80 | |
|---|---|
| キーレイアウト | US配列 75%レイアウト |
| キー数 | 82キー |
| 接続方法 | 有線接続 |
| ポーリングレート | 8,000Hz |
| スキャンレート | 32,000Hz |
| 遅延 | 0.125ms |
| Nロールオーバー | 対応 |
| キースイッチ | EPOMAKER MagneX Switch |
| キーキャップ | PBTダブルショットキーキャップ |
| DKS対応 | ○ |
| SOCD対応 | ○ |
| 対応OS | Mac/Windows/Android |
| カラー | ブラック/ホワイト |
| サイズ | 幅:33.2cm 奥行き:14.7cm 高さ:2.2cm |
| 重量 | 0.82kg |
| 価格 | 12,259円(税込) |
パッケージ内容


EPOMAKERのパッケージデザインはシリーズによって異なっており、「HE」シリーズは斜めに切り替えデザインが入ったものとなっています。
『HE68 Lite』は青色が採用されたものだったのに対し、本製品は黄土色が採用されていますね。

- EPOMAKER HE80 本体×1
- USBケーブル ×1
- キーキャップ・キースイッチプラー ×1
- 交換用キースイッチ ×3
- 交換用キーキャップ ×一式
- ユーザーマニュアル
パッケージ内容は上記の通りです。

ユーザーマニュアルは多言語化されており、日本語での記載もあります。バックライトパターンの切り替え方法なども載っているので、一度は目を通しておくのがよいでしょう。

ただ一部、翻訳具合が微妙なところもありますね。「じゅうりょう」はちょっと可愛い…w

付属のUSB-A to Cケーブルは、布巻きケーブルになっておりデザインも良好。フェライトコアも付いておりノイズ対策もされた品質の良いものになっています。

付属のキースイッチ・キーキャッププラー。EPOMAKERの製品ではもうお馴染みのものです。本製品『HE80』も、キースイッチがはんだ付けなしで交換できるホットスワップに対応しています。

付属してくるキーキャップ。あらかじめ本体には透明なキーキャップが付いていますが、これに付け替えることで落ち着いたデザインに変更できます。
本体デザイン

『HE80』の本体デザインは、全体的には白黒でまとまっていますが、初期状態では一部のキーがクリアなキーキャップとなっており、ちょっとしたデザイン的なアクセントとなっています。
筐体は軽量のプラスチックなので高級感はそれほどありませんが、質感自体は良く安っぽさはあまり感じません。

初期状態で付いている青いクリアキーキャップ。もちろんこのまま使用してもよいですが、付属している白のキーキャップに変更すれば、全体的に白黒にまとまったクリーンなデザインになります。

体の上部にはUSB-Cポートとロゴが見えます。本製品は有線接続のみの対応となっているため、切り替えスイッチなどはありません。

本体裏面。四隅と下部には滑り止め用のゴムが貼られているので、使用時に滑ることは少なそうです。

段階の角度調整ができるキックスタンドが付いています。



同じく「HE」シリーズである『HE68 Lite』ではキックスタンドがなく角度調整ができなかったので、これは嬉しいポイントです。
キースイッチ


『HE80』には 磁気スイッチ(ホールエフェクトスイッチ) である『EPOMAKER MagneX Switch』が採用されています。
磁気の変化でキーの押し込み量を検知するので、アクチュエーションポイントの微調整やラピッドトリガーといった高度な機能が実現できるのがポイント。


| EPOMAKER MagneX Switch | |
|---|---|
| タイプ | 磁気スイッチ |
| 作動力 | 最小30gf |
| トリガーフォース | 37±5gf |
| ボトムアウトフォース | 最大45gf |
| トリガーストローク | 0.1mm-3.3mm単位調整可能 |
| 総ストローク | 3.4±0.1mm |
| 初期磁束 | 90±10Gs |
| 終了磁束 | 550±55Gs |
| 素材 | トップカバー・ボトムベース:PC ステム:POM |
| スプリング長 | 18mm |
| ファクトリールブ | ○ |
| 耐久性 | 10億回 |
注目したいのは 耐久性10億回 という数字。磁気スイッチは物理的な接点がないため、一般的なメカニカルスイッチ(5,000万〜1億回程度)と比べて圧倒的に長寿命なんですよね。
チャタリング(意図しない連続入力)も起こりにくく、長期的に安心して使えるのが磁気スイッチの大きなメリットの一つ です。
キーキャップ
『HE80』に付属するキーキャップはPBTダブルショットなので、耐久性や摩耗耐性も高いのが特徴です。

ただなんか、記号と頭文字の1文字だけが太くなっており、結構特徴的なデザインですね。

黒の色も濃くハッキリとした印字なので、コントラストが高く視認性は高いです。個人的にはこの文字色は薄いほうが好みなのですが、ゲーミングキーボードという性質上、見やすさを優先させた結果、こういったデザインになっているのかもしれません。
EPOMAKER HE80のメリット
『HE80』を実際に使い、感じたメリットを紹介します。
磁気スイッチ採用で高耐久・高精度
本製品の最大の特徴が 磁気スイッチ(ホールエフェクトスイッチ)を採用していること。 物理的な接点がないため耐久性は10億回と、一般的なメカニカルスイッチの10倍以上。
さらに磁気スイッチならではの強みとして、押し込み量を連続的に検知できるため、アクチュエーションポイントを好みの深さに自由に調整できたり、ラピッドトリガー機能が使えたり と、従来のメカニカルスイッチでは実現できなかった高度なカスタマイズが可能になります。
打鍵感・打鍵音が良好で普段使いにも最適
当初思っていたよりも打鍵感はかなり良好でした。滑らかで”スッ”と入るタイプで、心地よくタイピングができます。
ゲーミングキーボードではありますが普段の作業用としても優れており、疲れにくく長時間のタイピングにも向いていると思いました。
打鍵音も「カタカタ」というか「カチャカチャ」といったような傾向の音。かなり音は抑えられており耳障りに感じることはありません。滑らかな感じで、静かな空間で使う際もそれほど気にせず使えるのではないかと思いました。
1万円台とは思えないハイスペック
本製品の何よりもの魅力が、1万円ちょっとという価格帯でありながらスペックが非常に高いこと。
- ポーリングレート:8,000Hz
- スキャンレート:32,000Hz
- 遅延:0.125ms
- アクチュエーションポイント調整:0.1〜3.3mm
正直、数字だけ見るとハイエンドモデルと比べても引けを取らないレベル。この価格帯でこのスペックはかなり攻めている製品だなと感じます。
0.02mm単位で調整できるラピッドトリガー

『HE80』の目玉機能の一つであるラピッドトリガー設定。
「高速トリガー」をONにするとラピッドトリガーが有効になります。この場合、アクチュエーションポイントとリセットポイントを0.02mm単位で調整できるようになり、より高速な入力判定が可能に。
注意書きがあり、0.04mm未満の数字にすると反応がよすぎるため推奨はしないとのことですが、それだけシビアな設定ができるということでもあります。
SOCD・DKS・Mod-Tapなど高機能

その他にもゲーミングキーボードらしい設定項目がしっかりと並びます。

Mod-Tap機能(1つのキーに短押しと長押しで別々の動作を割り当てる機能)、

DKS(押下距離によって複数の動作を割り当てる機能)、

SOCD(後押しキー優先設定)など、この価格帯では珍しいレベルで機能が充実しています。
僕はあまりFPSとかプレイしないので、正直そこまで詳しくはないのですが、人によってはかなりプレイの補助に使えそうです。ただ、ゲームによってはこの辺りの設定が禁止されている場合もあるらしいので、使う時は一度調べてからのほうがよさそう。
ソフト不要・ブラウザから日本語で設定できる
本製品はラピッドトリガー対応のゲーミングキーボードなので、アクチュエーションポイントの設定など細かいカスタマイズが行えるかどうかが気になるポイントですが、なんと本製品の設定ソフトウェア「Epomaker HE80 Driver」は、専用ソフトのインストールが必要なく、ブラウザ上で設定ができます。

さらに特筆すべき点は、同じく「HE」シリーズである『HE68 Lite』は専用ソフトをインストールする必要があり、言語も中国語・英語しか選べなかったのに対し、「Epomaker HE80 Driver」は日本語に対応しているということ。
翻訳具合は完璧とは言えませんが、それでも日本語に対応していることによって分かりやすく各種設定ができる点は素直に喜ばしいなと思いました。

ノーマルレイヤー、Fn同時押し時のレイヤー設定など、基本的なキーリマップはもちろん可能。

その他、ポーリングレート設定やファームウェア更新もブラウザからできるようになっています。web上から簡単にファームウェア更新ができるのはよいですね。他のキーボードもこんな風になってくれればなと思ったりします。
ホットスワップ対応でキースイッチ交換ができる
前述の通り、本製品ははんだ付けなしでキースイッチが交換できるホットスワップに対応しています。
磁気スイッチの選択肢はまだまだ少ないですが、将来的に別の磁気スイッチに交換したり、壊れたスイッチだけを交換したりといった使い方ができるのは嬉しいポイント。長く使えるキーボードという意味でも価値があります。
2段階調整可能なキックスタンド

『HE68 Lite』ではキックスタンドがなくて地味に不便だったのですが、『HE80』では2段階の角度調整ができるキックスタンドが搭載されました。
ゲーミング用途はもちろん、長時間のタイピングでは手首への負担が変わってくるので、地味ながら嬉しい改良です。
EPOMAKER HE80のデメリット
『HE80』のデメリットも正直に紹介していきます。
有線接続のみの対応
本製品は 有線接続のみの対応 です。Bluetoothや2.4GHzワイヤレスには対応していません。
ただ、ゲーミングキーボードにおいて有線接続は遅延の少なさという意味でむしろメリットとも言える部分。そもそもラピッドトリガーのような反応速度を重視した機能を活かすには有線が望ましいので、ゲーミング用途であれば大きなデメリットにはならないかなと思います。 デスクを整理したいとか配線をスッキリさせたいという場合には少し気になる点ではありますね。
キーキャップの印字がやや太めで好みが分かれる

先述の通り、付属キーキャップの印字は記号と頭文字の1文字が太くなっており、かなり特徴的なデザインです。
視認性は高いので実用面では問題ないですが、もっとシンプルで細い印字が好みという方には気になるかもしれません。 キーキャップはPBTなので、気になるなら後から別のPBTキーキャップに交換するという手もあります。
ライティングが全体的に控えめ

『HE80』もEPOMAKERらしく美しいライティングと豊富なライティングパターンが用意されていますが、LEDが南向きなのとキーキャップが透過しないので、全体的にライティングは落ち着いた印象です。

派手に光らせたくないという方には適していますが、逆に ゴリゴリに光らせたいという方には物足りない可能性があります。
その場合はキー印字部分が透過する「シャインスルーキーキャップ」などを別途用意して付け替えると、印象がガラッと変わりますね。

また、右端キーの下には「LOGOランプ」と呼ばれる、アクセント的なLEDもあります。こちらもバックライト同様に色の変更などが可能となっています。
EPOMAKER HE80はこんな人におすすめ
『HE80』は以下のような方におすすめです。
- 磁気スイッチ×ラピッドトリガーを手頃な価格で試してみたい方
- ゲーミングだけでなく普段のタイピングでも使える75%レイアウトのキーボードが欲しい方
- SOCDやDKS、Mod-Tapなどの高機能を使い倒したい方
- 専用ソフトのインストールを避けたい、日本語で設定したい方
- ホットスワップ対応で将来的に自分好みにカスタマイズしていきたい方
- 耐久性が高く長く使えるキーボードを探している方
逆に、ワイヤレス接続が必須の方や、ゴリゴリに光るゲーミングRGBを求める方 には他の選択肢を検討したほうがよいかもしれません。
EPOMAKER HE80に関するよくある質問
『HE80』に関するよくある質問をまとめました。
- EPOMAKER HE80は普段使いでも使えますか?
- はい、普段使いでも十分に使えます。75%レイアウトで82キーを搭載しているためファンクションキーや矢印キーも独立しており、ゲーミング用途だけでなく普段のタイピング・文書作成にも適しています。 打鍵感も滑らかで長時間使用でも疲れにくいのでおすすめです。
- 磁気スイッチとメカニカル軸(赤軸・青軸など)は何が違いますか?
- 磁気スイッチは磁力の変化でキーの押し込み量を連続的に検知するため、アクチュエーションポイントを自由に調整できたり、ラピッドトリガーのような高度な機能が使えるのが最大の違いです。また物理的な接点がないため耐久性も高く、チャタリングも起こりにくいのが特徴。一方で従来のメカニカル軸は構造がシンプルで種類も豊富、打鍵感の選択肢が多いというメリットがあります。
- Macでも使えますか?
- 対応OSにMac/Windows/Androidと記載されており、Macでも使用できます。ただし、本製品はUS配列なのでMacで日本語入力を行う場合は、キーボード設定で「英語(US)」として認識させる必要があります。
- 設定ソフトのインストールは必要ですか?
- 不要です。本製品の設定ソフトウェア「Epomaker HE80 Driver」はブラウザ上で動作するため、専用ソフトをPCにインストールすることなく各種カスタマイズができます。 ファームウェア更新もブラウザから行え、日本語にも対応しているので設定画面も分かりやすく扱えます。
- ラピッドトリガーはどれくらい細かく設定できますか?
- アクチュエーションポイントとリセットポイントを 0.02mm単位 で調整できます。ただし、0.04mm未満に設定すると反応がよすぎるためメーカーは推奨していません。通常使用であれば0.1〜0.5mm程度の範囲で好みの設定を見つけるのが現実的です。
- ホットスワップに対応していますか?
- はい、対応しています。はんだ付けなしでキースイッチの交換ができるので、将来的に別の磁気スイッチに交換したり、壊れたスイッチだけを交換したりといった運用が可能です。
EPOMAKER HE80のレビューまとめ
『EPOMAKER HE80』は、磁気スイッチ(ホールエフェクトスイッチ)を採用しラピッドトリガー機能を搭載した75%レイアウトのゲーミングキーボード。
8,000Hzのポーリングレート、32,000Hzのスキャンレート、0.125msの超低遅延など、そもそものスペックが高く、ラピッドトリガー機能を使うと0.02mm単位で調整できるなど、ゲーミングキーボードとして非常に優れた製品です。
カスタマイズ性も高く、専用ソフトをインストールしなくてもブラウザ上から各種設定が可能。日本語にも対応しているので、カスタマイズ項目の内容も把握しやすいのもメリットと言えます。
また、ゲーミングキーボードですが普通に打鍵感や打鍵音も良好で、普段の作業でも十分に使えるのも嬉しいポイント。
有線接続のみというデメリットもありますが、これだけの性能を持ちながら1万円台前半という価格設定は破格とも言え、コスパは最強クラス。磁気スイッチ×ラピッドトリガーを手頃な価格で試してみたいという方にとって、『HE80』は間違いなく”最適解”の一つと言えるでしょう。
気になった方はぜひ『EPOMAKER HE80』をチェックしてみてください。




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